まるで早口言葉みたいな名前、スフォッリャテッレリッチェはナポリの貝殻の形をしたパリパリのパイ生地で甘いクリームを包んだお菓子。
初めて食べたとき、その綺麗で不思議な形と絶妙な「パリパリ甘っうまっ!」の組み合わせに感動し、手が込んでるこんなお菓子を手軽にバールで安価に買えていいのか?と一人イタリア文化にツッコミ入れてました。
よくフィレンツェで見かけるものは中にカスタードクリームが入ってるのですが、本場はそんなもんじゃないんです!
イタリアのお菓子作りに信頼している一冊の本があります。↓
表紙にもお名前が載っている金沢大学の宮下隆晴教授はイタリア中世・ルネサンス美術史の第一人者。
その宮下教授に幸運にも私はサンタクローチェ聖堂で働いていた頃、お知り合いになり興味深い話をお聞きすることが度々ありました。
サンタクローチェ聖堂はミケランジェロやガリレオのお墓があることで有名な場所です。
当時、そのサンタクローチェ教会の大礼拝堂のフレスコ画の修復を監督されていた教授。
1300年代に描かれた聖十字架か辿った運命を物語にしたフレスコ画の修復は、2005年から始まり2010年までかかりました。
他の大学からいらっしゃる教授の方々と修復現場へご一緒することもありました。
数千万円を要した天井部分高さ26メートルにまで及ぶ足場にはエレベーターがつけられ、上まで上がると、当時、職人たちが一日一日どこで区切って作業を分けていたか(ジョルナータと呼ばれています)区切りを凸凹の様子で見て取ることが出来ます。
剥がれやすい金箔部分は黒くなり、酸素の影響を受けやすい色が変色して700年前とは印象が違って見える。
でも、そんな時間の影響も含めて美しいのだと思いました。
上に上がっていくと、途中、1960年代に行われた修復の跡と思われる場面を区切る額縁のようなところにイタズラ心が働いたのでしょう、修復士本人と思われる自画像が残っていました。
それが…ベレー帽とメガネ姿で手塚治虫にしか見えない(笑)
普段は経験できないような貴重な体験をさせていただいた良い思い出です。
話が外れてしまいましたが、この宮下教授の奥様は料理研究家でもあります。小柄でお優しい奥様が「これ良かったら」とご自分の著書を下さいました。
ご自身で回られたそれぞれのイタリアの町発祥のお菓子を歴史とともにレシピが載せられています。
私の中ではお菓子作りのバイブルです。
一つ一つのお菓子には裏に物語がある。
そして、このレシピに添えば美味しいお菓子ができる!
(ちなみにティラミスもこのレシピの配分しか信用してません。)
ここに載っているスフォッリャテッレリッチェを今日は作りました。
本場の中身はカスタードではなくリコッタチーズとセーモラ粉にオレンジピールです!
日本でも、家でも、簡単に作れるようにと配慮されているのでそのまま包む皮部分は生パイ生地を使いました。
いざっ!
スフォッリャテッレリッチェのレシピ
<材料>
セモリーナ粉 100g
水 300cc
塩ひとつまみ
砂糖 100g
リコッタチーズ 100g
卵 1/2
シナモン
オレンジピール
パイ生地シート(中身とバランスを取るなら大きめのを2枚)
中のクリーム
①塩を加えた沸騰した水にセモリーナ加えて混ぜる。→弱火で5分ほど混ぜ続ける。
②粗熱が取れたら砂糖を加えて混ぜる。
③リコッタと卵とシナモンとオレンジピールを別のボールに混ぜて②に加え、さらに混ぜる。
外の皮の成形
④パイ生地シートを長方形5枚に切る。
⑤5枚を重ねる。
⑥重ねたパイ生地をロールケーキみたいに巻く。
⑦約1cm幅に切っていく。
⑧中心部分を指で押し込むようにしながら貝殻状に成形する。
仕上げ
⑨中の具をパイ生地に詰め込み端を閉じ、パイ生地の表面にハケでラードを薄く塗る。
⑩200℃のオーブンで40分ほど焼く。
焼く前は「餃子か?!」と毎回思ってしまうのですが…
焼いたら、餃子じゃなかった〜(^◇^;)
仕上げに粉砂糖をかけて完成!
17世紀のアマルフィ海岸の修道院サンタ・ローザ。
厨房係の修道女が牛乳で煮たセモリーナを捨てるのがもったいなくてレモンのリキュールを加えて作られたのが発祥だそうです。
周りの農民への施しにしていたそうですよ。
こんなに美味しいお菓子を!✨
これほど贅沢な施し他にはないな。
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