今年の春、試飲会Terre di Toscanaで出会ったパオロさん。
フィレンツェ郊外のヴィッキオという地域でトスカーナでは珍しくピノネーロやソーヴィニョンブランからワインを造っています。
素朴なパオロさん。
昔はジュエリーを作っていた職人さん。
この職人魂はブドウ畑でも発揮されています。
見にくいですが、ブドウの木が上の方で通常の一列ではなく二列のワイヤーに枝分かれしています。
ピノは非常に繊細な品種、太陽が当たりすぎてもダメだし、湿気にも弱い。
この方法だと葉っぱが広がり直射日光は当たりませんが、葉っぱに反射した光が優しく当たります。
そして高めに仕立てていることで湿気からも遠ざけます。
もちろんその分仕事量も増えます。
パオロさんの信念を言葉の端々から感じます。
「僕はこの自然に余計な手を加えるのをやめたんだ。
だってこの土地は生きている。
冬になるとね、トカゲがブドウの木の根元で冬眠している。
殺せないよね。だから機械どころか、掘り返すこともできないよ。
生かすために表面の草を少し刈るぐらいさ。」
ブドウの木に黄色い苔のようなものが生えています。
健康な土地な証拠だそう。
蜂さんが残ったブドウの割れたところでお食事していました。
ピノ・ネーロの汁ってこんなに透明なんですね。
ブサイクなリンゴがなっていて、自然に落ちたリンゴが地面にいっぱい、香りがそこら中に。
ブドウの木の根元にハーブが生えてます。
メリッサというハーブはレモンみたいな香り。
ポッケに忍ばせたら後日もずっといい匂いでした。
トカゲがカサカサと葉っぱの陰に隠れるのを見て
「おぉ、ブドウ畑にお帰りお前。
あっちで仕事してきてくれ!」
「こいつらが土をよくしてくれる。
守ってくれる。」
「ブドウは人間のために実をつけてる訳じゃないからね。
自分たちの子孫を繁栄させるためだからね。」
常に自然側からの目線。
素敵です。
青空醸造。これで造れるってすごいです。
自宅の下の階が木樽やセメントタンクのある熟成スペース。
入った途端「あったかいなー」と思ったら室温を18度に調節して先に*マロタッティク発酵を促しているそうです。
(*マロラッティク発酵は中に含まれてるすっぱーいリンゴ酸がまろやかな乳酸菌に変わる発酵)
ブレタノミセス(馬の汗の臭いを発する菌)が繁殖してしまう危険性を抑えるために先にマロラッティク発酵を促しているそう。
木樽(バリック)はブルゴーニュから取り寄せ。
ピノの繊細さに合わせて炙りがあまり強くない木樽。
好奇心旺盛な私、木樽を直接嗅がせてもらいました。
初年度のものはしっかり匂いがあり、翌年のものはすっかり匂いが抑えられています。
こんなに違うのか!というぐらい。
だから、ワインの熟成に一年目の木樽を使ってるか。数年使って落ち着いてるのを使ってるかでワインへの影響もかなり違うんだなと実感。
幻の白。ぷくぷく…
ソーヴィニョンブラン。
未だ飲んだことがありません。
シャルドネに20%ピノネーロを加えた白もあります。品種の組み合わせはシャンパンみたいだけど、泡じゃないそう。いつか飲んでみたいです。
「君たち、たいしたものは何もないけど、チーズとハムとパンしかないけど食べてくかい?」
2階のご自宅へご招待いただきました。
入った途端まるでジブリの世界かと思いました。
憧れます、こんな田舎のお家。
窓辺にはお家の周りになってる果物や野菜が。
地元のペコリーノチーズや生ハムを切り分けて、オリーブやパン、オレンジとナッツの入ったサラダなどをさっと用意してくれました。
ワインはもちろんパオロさんの。
まだ売りに出される前のピノネーロ。
同じテーブルを囲み、造ったご本人とワインを飲みながら語り合えるなんて贅沢!
農業をしているところに特徴的な土のような香り、畑に生えてるたくさんのハーブ複雑な香り。
フランスのブルゴーニュや北イタリアのトレンティーノのピノネーロとは違う。
ピノらしい香りは引き出されてるけど、ちゃんとトスカーナのピノ。
個性があって、素敵なワイン。
土地と自然があって、生産者がいて、ブドウが育って、ワインがある。
すべてが繋がっているこの場所とパオロさんの優しさにとっても癒されました。
パオロさんのピノネーロは前にご紹介したお気に入りのフィレンツェ中心街にあるレストランCoquinariusやワインショップBonattiでも売っています。
ぜひ、試飲してみてください。
Il Rio
http://www.ilriocerrini.it (イタリア語サイト)
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