北イタリアのロンバルディア地方にあまり知られていないスパークリングワインの隠れた産地があります。
Oltrepò Paveseオルトレポーパヴェーゼと呼ばれる地区で生産されるDOCG Oltrepò Pavese Metodo Classicoはシャンパーニュと同じ製法の瓶内二次発酵で造られ、泡がきめ細かい上質のスパークリングワインです。
スパークリングを造るための命は原料のブドウの酸味。
標高や地質、昼夜の寒暖差などここには適した条件が揃っています。
そんなメトド・クラッシコの生産者の中で一年以上前に試飲会で出会ってからずっと訪問したいと思っていたCalatroni Viniカラトローニへ行ってきました。
7代目のステファノは若いのにしっかりしていて造る工程の全てにちゃんとした裏付けの知識があり話を聞いているとすごく勉強になります。
まず彼らのPinot 64 Metodo Classicoを試飲させてくれました。
スローワインやガンベロロッソのトレビッキエーレなどの賞をとっています。
普通はスパークリングは年代が書かれていないのですが、こちらはミッレジマート(収穫年度入り)2015年。
ミッレジマートはブドウがいい状態の年だけしか造ることができません。
8%木樽熟成(オーストリア産)
発酵も木樽で行ってるとのこと。シュールリー32ヶ月。
「木樽は香りが覆わないように、でもワインに深みを出すため」とこだわりを語ります。
このワインは100%ピノ・ネーロですが、なんと五つのクローンを使用。
フランスのものとイタリアのものと赤ワインではなくスパークリングに合う五つを厳選しています。
カリカリしたイタリアの桃、アーモンド、白い花の香りがふわーっと立って口に余韻が残ります。
それからこのクローンの一つのみでまだ熟成中のも試飲させてくれました。
「違いを感じて欲しい」と。
熟成がまだ途中なのもありますが深みが全く違います。
でもスッキリした酸味とミネラルがじゅわっときて美味しいです。
同じピノ・ネーロでもクローンを混ぜていることでこんなにも複雑味が出るんだなと納得。
さて、畑を見学。
15haの畑は標高220m〜550mにまたがり赤ワインや泡じゃない方の白ワイン用のブドウが低い標高の畑に、泡用のピノネーロなどは標高が高い方に植えられています。
100m標高が上がるごとに通常なら1度気温が下がると言われていますがここは特殊で100mごとに1.5度ずつ下がるのだそうです。
だから彼らにとって低い方の標高220mと高い方の標高550mでは4〜5度の気温差が出ます。
そしてこれがピノネーロへ酸を与えます。
仕立て。
いつも見てるトスカーナと比べて一目瞭然で違う地域にいるとわかるほど私にとってはアブノーマル!
背高のっぽの仕立ては1m70cm!
地面からくる寒さからブドウの木を守ります。
この日、冬の訪れを感じるように畑の地面には氷に覆われた葉っぱが。
ここの仕立ては一本の支柱に二本の木が支えられそれぞれ反対方向に枝がのびています。
フランスで見たアルベレッロ仕立て、トスカーナのコルドンやグイヨ仕立て、オルトレポーパヴェーゼのこの仕立て、伝統的に使用されてる仕立てにはその地域の土や気候に合わせた「理由」先人達の知識が詰まっているんだなといつも感嘆。
併設のアグリツーリズムで彼らが造っているワインと合わせながらお昼をいただきました。
私たち好みの
・地域の料理
・材料の原産地(肉以外は彼らの畑から)が地元
・味のクオリティ重視で組み合わせに気をつけてる
と嬉しくなっちゃうお皿をエプロンつけたイケメンのステファノさんがパーフェクトなサービスで持ってきてくれます。
ちなみに料理はステファノさんのお母さんが作ってます。プロの味!
お皿一つ一つを詳しく説明、合わせるワインも詳しく説明。
醸造も畑も試飲会も全部彼が最前線に出てますが、まさかレストランのサービスまでできるなんて(笑)
出来なくていいのに(^◇^;)
「酸味を足すためにトマトのソースが添えてあります」と料理の説明がどこかワインの説明😆
前菜のポレンタと猪肉の煮込み、かぼちゃのスフレとブリーチーズのソース、煮込み肉をミートボールにしたもの。
サラミ、コッパと呼ばれる生ハム、パンチェッタ(熟成24ヶ月!)の盛り合わせ。
ボナルダ種の赤い泡と合わせるとうんまーい!!
サフランのリゾットとオッソブーコ(牛肉)の煮込みにリースリングを合わせるのは意外でしたが美味しかった!
サフランがしっかり香って、それにリースリングのパイナップルや、ちょっと鉛筆の芯みたいなカチッとした香りがとても良く合いました。
初めて聞いた郷土料理、Pisarei e Fasòもちもちしたパスタとお豆。
これにピノネーロに合わせます。まだ咲いてるバラ、サクランボ、松のニュアンス。
セコンドはやわらか〜く煮込まれた豚さんとセダノ・ラーパのピューレ。
Perorossoという地元のブドウ品種を5種混ぜた濃いブラックベリーやチェリーのニュアンスがある赤と合わせます。こちらもいい組み合わせ!
最後に出てきたチョコのデザートに添えてあるアプリコットの酸味効がいたジャムは、リースリングのブドウ畑の横に生えていた木から取った実で作ったそうです。
あまり出会えないSangue di Giudaジェデッタの血というワインで締め。
しゃりしゃりしたリンゴやポプリを口にほうりこんでるみたい!
ソムリエ彼氏くんも今まで飲んだことなかった珍しいDOCワインでステファノさんは大学の研究と提携して昔からあるけど近年減少傾向にあるこの品種を育てているそうです。
こういうのいいですね。
地域と人に根付いたもの。
とても豊かな時間を過ごせたと思えます。
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