キアンティ・クラシコの本当の味−ワイナリー モンテ・ベルナルディ訪問

投稿日:

先に言っちゃいます!

すっごく良いここ‼️

急に一日休みが取れたので、前日、しかも夏休みでどこも閉まってるこの時期ダメ元で連絡したところ快く訪問をオーケーしてくれました。

黒い雄鶏(ガッロ・ネーロ)マークでお馴染みのキアンティ・クラシコDOCGは指定の地域内で生産、各ブドウ品種のパーセンテージ、アルコール度数、ワインの色、熟成期間など様々な規定の審査を経て毎年ボトルごとに与えられます。

キアンティ・クラシコど真ん中の地域とも言えるパンツァーノ・イン・キアンティにあるMONTE BERNARDIは昨年スローワイン協会からもその農法やクオリティにお墨付きをもらったワイナリー。

幸運なことに今回オーナーのマイケルさんにご案内して頂きました。

ドイツ人の父、アメリカ人の母、生まれはイタリアというこのマイケルさんが凄い!!

フランスに住んでいた頃は様々なワイナリーを巡って料理の道からスタートしたワインの興味を深め、オーストラリアに渡ってワイン造りをした後、ご家族とこの土地にやってきたそうです。

オーストラリアで既にビオディナミ農法を学び実践していた彼は、トスカーナのこのワイナリーを始めた第1日目から迷いなくこの農法を取り入れています。

「今年は僕にとって17回目の収穫なんです」と自己紹介に語るマイケルさんの博識、経験、土地や文化に対するリスペクトに感嘆し続ける2時間でした。

ワイナリーは当時5haから始まり、今は15haまで広がっています。

なので、古い方の畑には51歳のブドウの樹がまだ残っています。

新しい畑にはマイケルさんが自ら植えた9歳〜13歳のブドウ樹が綺麗に並んで育っています。

この畑のほとんどはサンジョヴェーゼ種、六つのクローンを使用。

収穫量も多く栽培も簡単な傾向にある新しいクローンではなく、育てるのは難しいが複雑味もそれだけある古くからあるクローンが好みなのだと。

凄いっ👏

サンジョヴェーゼひとつとってもそのこだりと苦労が最後の出来に差が出ています。

各畑の微妙な標高の違い、土質の違いによるブドウ樹への影響を理解し、その差に合わせたブドウの育て方を行なっています。

今キアンティで主流の台木428は実はブドウ樹がストレスを受けやすいのではと語るマイケルさんはRichter110という別の台木を使用。

樹勢がこちらの方が強く、平地では合わないが、この土地ならば根を深くまで張るにはいいと。

2017年、暑くて他のワイナリーではブドウ樹達が水不足で苦しんだ年、彼の畑はちゃんと根が地中深くに伸びていたため葉が青いままだったそう。

畑の葉っぱを触らせてもらいました。

下部の葉っぱから元気が無くなってくるのがわかるらしいのですが、手のひらの裏側で触れて葉っぱが冷たいとブドウ樹が元気な証拠なのだと。

確かにひやっと冷たかったです。

ここに転がっている石たちが太陽光を反射し、その淡い直射日光ではない光からブドウたちはタンニンを作り出す指令を出しているのだそうです。

今、トスカーナではブドウたちはちょうど色を変えてきているヴェレゾンの時期。

見ているだけでワクワクします。

ちなみにこの↑ブドウと比べて小さいブドウたちがいましたが、これは今年5月とっても寒かったため受粉しきれなかった「花ぶるい」と言われるブドウたちです。

例えばブルゴーニュでは果肉に対して果皮の分量が増えるため、皮由来のタンニンや香り、酸味が足されるとも言われているそうです。

実際初めて見た。全然見た目が違いますね。

さて、マイケルさんのワイン造りの最大の特徴、核となるのはブドウ樹の上に伸びる蔓や葉っぱを切り落とさないこと!

栽培法のセオリーでは先端の成長点を切り落とすことで、果実の成長を優先させることを目的に行われます。

しかしこの彼の理論(というか経験から来る理解)は違います。

上部を切り落とすとブドウにとっては頭部を切られてしまうようなもの。

そうなったブドウは困ってしまい成長のストレスを受け、控えていた横の第二成長点にスイッチし、蔓を伸ばし始めてしまいます。

そして、このせいでブドウを育てるエネルギーが分散し、果実は物理的な成長の割に風味の成熟が遅れることになると言うのです。

切らずに残す彼の畑のブドウたちは糖分が上がり過ぎてジャムのようにならず、良い酸味を残しブドウ本来の成熟を迎えます。

ブドウの果実だけでなく茎や種も成熟に達するため、収穫後全てをタンクに入れ発酵させ、30日から90日のマセレーションを行います。

全体の30%〜80%までブドウの房丸々、つまり茎も種も全てマセレーション中入ったまま!!

タンニンは皮に多いですが、茎や種にも入ってます。

今まで様々なワイナリーを訪問した結果、茎は賛否両論、種に関しても良い影響はないと聞いていました。*例えばブルゴーニュワインの神と言われるアンリ・ジャイエは茎はとってしまいますし、種も数日以上浸けてしまうと良くない渋みが出てしまうから取るように言っています。

(*ブルゴーニュとキアンティでは気候も品種も違うので当たり前ですが同じ理論は通じません。それぞれの生産者が経験からその土地に合った最高のワインを造る、だから面白い!そう思います。)

この逆説的な造り方に驚愕しました。

でも確かに茎や種も熟していれば、えぐ味のあるタンニンでなく丸みのあるタンニンが抽出され、相互作用で複雑味が増すというのは納得できます。

言うのは簡単ですが、茎や種が果実と比例して成熟度を迎えることは殆どないと思っていたのでこの農法から出発するワイン造りは凄いです!

絞るのも昔ながらの木の絞り機で一気に3気圧まで上げて搾り汁全て使用するそう。(他のキャンティ生産者はおよそ70%使用、残りは使われません)

他にもこの昔ながらの木の絞り機を使うのにも理由があります。

「昔のものには理由がある。ビオディナミ農法というのも昔ながらの農法の良いところをちゃんと取り入れるという意味で捉えているんだ。」

今よく使われるバルーンと呼ばれる搾汁機は回転式の機械の中の風船のようなものを空気で膨らましながら効率よく絞ります。ただマイケルさん曰くこれを使用するとワインの濁り度が上がる、結果ボトルに入れる前にフィルターをかけたりする作業をしなくてはならなくなると。

フィルターをかけるとワインの良い部分も少なからず取られてしまうので難しいところです。

またバルーンを使う方法だと酸素に触れないようにできています。

この段階で酸素に触れるのを良しとしない生産者は多くいます。というか一般的にはそれが当たり前です。

しかしここにもマイケルさんなりの理論があります。

この段階で酸化してしまう成分というのは、ワインの中で一番酸素の影響を受けやすい成分であり、この成分を残したままボトルまで詰めてしまうと、酸化しやすい成分が残ったまま飲む消費者の元に届いてしまうのだと。

醸造の段階で酸化した成分を取ってしまえば、ボトルには残りません!

いや、凄い凄いの連続です。

 

最後、コンクリートタンク、古い樽に寝かせた後、もちろんフィルターも清澄もなしでボトリングされます。

img_0984

さぁっ!お待ちかねの試飲!

オフィス兼試飲室の雰囲気がマイケルさんの雰囲気に合っていてとてもお洒落。

元々は廃墟同然だったところをリノベーションしたそうで、アンティークの螺旋階段も自分で見つけてきて取り付けたそう。

ちなみにずっとマイケルさんのワンちゃんルビーちゃんが畑や試飲にも付いてきてくれて癒されました。

捨て犬だったルビーちゃんはラベンダーのちょっとした揺れや車に反射して写った自分の姿に吠えてました。

 

img_0987

ずっと動いてるからこんな写真しか撮れなかった😅

まずは文句なしに美味しいレトロマルチャRetromarcia 2017年(写真左はしのボトル)

サンジョヴェーゼ100%、樽は使ってません。

パッと鮮やかな酸味があり赤いベリー系やチェリー、プルーンなどの黒い果実も感じます。

マイケルさん曰くブドウの中心の房は黒い果実系の香りが中心に出てきて、翼部分に例えられる脇の房にはチェリーなど赤い香りの違う成分ができるそう。

なので、房を切ったりすることはせず(いくつかのワイナリーではブドウの凝縮度を上げるためにブドウの一部を切って栄養を集中させる方法を取っているところもあります)全ての得られる香りをブドウに残しているのだそうです。

畑でブドウを見て話を聞いた後に試飲しているせいかそれを益々感じる気がします。

とにかく全体のバランスが良く、トスカーナはもっと暑いイメージがあったのですが、バラや野の赤い花なんかの香りも感じるようなエレガントな仕上がり。

最終段階の出来が畑や醸造の全てを聞いただけあって納得せずには入られません。

続いてMonte Bernardi 2016年(写真左から2本目)

サンジョヴェーゼ95%、カナイオーロ5%。

こちらは単一畑でガレストロ(泥炭質)な地質。大樽使用。

記事の最初にキアンティ・クラシコDOCGを受けるには毎年ボトルを認定してもらわないといけないと書きましたが、こちらDOCGの規定に達する色合いではなかったと2016年はDOCGをもらっていないそうです。

地域、品種、アルコール度数など様々なものは規定に達している。

何より味!!この香りと味!!紛れもないピュアなサンジョベーゼの複雑味。

先ほどのに比べてハーブ感が出てきています。

この完成度を差し置いて色が少し薄いと言うことでランクの低い呼称のIGTを名乗っています。

もはやDOCGとはなんなのでしょうか。

マイケルさんは60歳を超えた昔からワインを造っているおじいさんによくお話を聞くそう。

「昔はどうやっていたの?」と。

そして昔ながらのキアンティの育て方や醸造には理由があって、理にかなっているとなんども言っていました。

じゃぁ今はなぜそれをしないの?と畑に使うハーブ水のようなものについておじいさんに聞いたところ

「今はね、なんか準備されたものを届けられちゃうからね。簡単だよね」と。

時代とともに、ブドウの新しいクローンが加わり、使用する器具も種類が増え、この土地に合ったはずのワイン、本来あったはずのワインが失われている、それを取り戻したいとマイケルさんは思っています。

ベースワインの「レトロマルチャ」=「車のギアのバック(R)」の名前にはそんな想いが込められています。

「僕にとって本当のこの土地らしさはこの味だと思うんだ。」

うん。素敵です。

Sa’etta2015(写真左から3本目)

うっひゃー!!香りの爆弾!

そして口の中で広がるいろんなピースの味、あれがある、これがある、と思ってるうちに余韻に浸ってはまた香りを嗅いで、笑顔でたまんないなーこれとなってしまいます。

どれも本当に美味しい。言葉がちゃちでごめんなさい(笑)

最後に普段トスカーナのこの品種は遠慮しようかな、と思っているはずのメルロー45%、カベルネ・ソーヴィニョン20%、カベルネ・フラン20%、プティ・ヴェルド5%のワインも試飲。

参りました。素晴らしいです。

あまり好きじゃないはずの品種が綺麗にバランスよくエレガントに仕上がっていて美味しい。

マイケルさんの人柄とワインに惚れ込んでしまいました。

また大好きなワインが増えちゃいました😋

彼氏くんも気に入ったようで、二箱大人買い(笑)

お家飲みが楽しみです♪

 
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