イタリアのクラフトビール醸造所見学

投稿日:

ロックダウンから3ヶ月、やっと「お出かけ」をすることができました。

予報では一日中雨模様。しかも雷つき。

「諦めた方が良さそうじゃない?」

という彼氏くんのコメントに頑固に

「やだ。出かける!外に行きたいの!晴れるから大丈夫!」

と駄々をこねたら…

晴れました(笑)

グーグルマップで指をぽちぽち適当に村や自然公園の写真を開けるのが好きでプロヴァンス旅行でもこの方法で予想外の素敵な場所へたどり着いたことがありますが、今回も同じように探していると

「なにこれ?」という場所をわずかフィレンツェから車で40分のところに発見。

地元の友達に聞いても知らないので久々の車+高速道路、そして青空と夏の雲を眺めながら旅のワクワクを感じつつ(久々だなぁ、これこれ!と嬉しくなってしまいます)舗装していない道に入り込んでいくと。

ありました!

Le Balze del Valdarno

グーグルマップというシステムは本当にすごいですね。

急にゴツゴツした赤い岩山。

下には葡萄畑というなんとも不思議な世界。

更に進むと小さな山道があり、小川とその川の原水があるところがありました。

久々の遠出、森の中、オタマジャクシも子供の頃見て以来かもしれないとか言いながら

残り物を詰めたお弁当と安いロゼの泡を開けてピクニック。

ロックダウン中に作った酵母のパンに発酵バター、ちょこっとアンチョビをのせて食べたら最高のご馳走になりました。

ロックダウン中にピクニックがしたくてしたくて、お弁当を作り、BGMに森の音を流して家の中で食べた日を思い出して笑いました。

「今日は本物の鳥の声がするね!」

さてこの日のメイン行事はクラフトビールの醸造所見学。

フィレンツェ市内から車で南に50分ほどのValdarno Superioreという地域にあるBVS Birrificioでアントニオさんが待っていてくれました。

見学には私たち二人に加え、ウンブリア州から来たご夫婦が一組。

みんな距離を保ってマスクつきです。

ワイナリーはいろいろと見学し、試飲会でもいろんな生産者さんの工夫を聞いていますが、実はビールについては全く知りません。

というのも、ワタクシ、ビールをほとんど…というか全く飲まないのです(^◇^;)

でも醸造にはすごく興味があるし、職人さんのビールとなれば是非飲んでみたい!

ということで、一からビールについて知るよい機会になりました。

ビールに大切な要素の一つである「水」は「自分たちの土地とつながっていてほしい。」

という理由から醸造所をこの場所に決め、地下70mから汲み上げている水を使用しているそう。水脈はローマ時代から流れているのだとか。

ちなみにここの水は硬水だそうです。

ビールの歴史はイタリアではまだまだ若く、材料の大麦に関してはイタリア国内で納得のいくビールに合った大麦を育てている生産者が少なく、ほとんどが大きなビール会社に買われてしまうのもありドイツの小さな大麦生産者から直接買い入れているとのこと。

この先ビールの文化が更に根付き、イタリアでも良い生産者が出てくることを応援しているそうです。

水、麦、そして最後にビールの醸造で大切なホップ。

このホップもまだ育てている農園がないそうで、大部分は乾燥させられた輸入のホップを使用。

ただ、数年前に大学と研究の提携をしてアメリカからホップを持ってきて地元トスカーナのホップも含めて5種類のホップを実験栽培中。

育て始めて最初の5年は香りなどばらつきがあるそうですが、THAという名前のビールとして乾燥ではなく生のホップを使用したビールも作っています。

ホップの収穫時期が8月終わりでその収穫後出来立てが一番美味しいそうなので残念ながら試飲はできませんでした。

醸造所のスペースは小さく、機械は4種類。これらは全てアレッツォ(映画Life is Beautifulの舞台になった町としても有名ですね)の職人さんたちが造ったものです。

大麦を水につけ、発芽させます。

この発芽をさせることで、でんぷん質が糖分に変わり、この糖分が発酵することでアルコールに変わります。

3mm発芽したところで大麦を粉砕機にかけます。

粉砕した大麦を水とともに加熱、この時の温度は約46度〜78度。

温度やその長さで香りや味、ビールの色が変わります。

それぞれの温度に保つ時間も決まっていて、その温度に対応した酵素が破壊されるため、ここは自分の理想のビールにする心意気のある職人さんの腕の見せどころともいえますね。

次に110度まで加熱した糖分液の中に香りや苦味を担うホップを加えます。

ホップには大きく分けると2種類あり、苦味部分を担うホップと香り部分を担うホップです。

苦味を与える要素はこの時熱を加える前に足され、香りを与えるホップは香りがちゃんと残るように加熱後に加えられるそうです。

先に加えられるホップは苦味とともに例えばキャラメル、はちみつなどの香りにつながります。

逆に後に加えられる香りはハーブの香り。

この後、固形部分をろ過して分け、20度に保ちながら発酵させます。

ビールの発酵には2種類あり、昔ながらの上面発酵と後に発見された下面発酵に分かれます。

彼氏くんが好きなビールを調べてみると、どうやら上面発酵ビールが好みなんだねと話していたのですが、アントニオさんのビールも上面発酵なのだそうです。

違いは発酵させる酵母の種類です。

上面発酵はワインと同じ酵母、18度〜20度で発酵し、液体の上面で発酵します。

下面発酵は8度〜12度で発酵するため沈殿して下面で発酵が行われ、ビールが明るい色になる特徴があります。

発酵が終わりボトリングする段階でも最新の注意が払われています。

ビールが冷却されたタンクからボトルに入るまで真空状態で詰められ、一切空気に触れないようにできています。

この段階で糖分が加えられ、ボトルの中で「二次発酵」を行います。

通常の大量生産ビールはCO2を加え泡を足すので、発酵の泡ではありません。

ボトル内二次発酵といえばシャンパーニュもこの方法です。

ボトルは25度に保たれた蔵で25日間保存(この間に二次発酵)

その後、熟成のために4度の蔵へ移され15日間寝かした後にやっと飲むことができます。

Birra Artigianaleという職人ビール=クラフトビールの法律がイタリアにできたのはわずか

4年前の2016年だそうで、この法律の取り決めのために当時他の職人さんたちと一緒にアントニオさんも議会へ出席したそうです。

職人ビールであるためには色々な条件がありますが、特に大切なものには

・ろ過されていないこと(糖分液の段階ではまだビールではないので固形物と分けるろ過は可。その後発酵してビールの状態になった後、澱などをろ過することは行いません)

・パストリゼーション(加熱殺菌)されていないこと

などがあります。

最後に加熱してしまうとせっかくの香りや味を損なう原因になってしまいますものね。

いよいよ試飲!

今回味見するのは3種類

MARIUS III

大麦に加え、地元の生産者のスペルト小麦を加えています。

ホップは4種類の焙煎。

そして、この地域のお肉屋さんが昔から使用している伝統的なスパイスを分けてもらい加えています。

ホワイトオレンジ、みかん、バナナ、ちょっとマンゴーっぽい香りも。

思ったよりも苦味がなく飲みやすいです。

PRATOMAGNO

プラートマンニョはこの地方の山の名前でもあり、頂には大きな十字架が立っているそうです。

苦味を担う一種類のホップのみを使用。香りにはこの山に生えるメリッサやタイムなどの野生のハーブを使います。

比べると目を見開くほどに違いがあり感動します。

こちらはリンゴやシナモンのような香りにスーッとしたメリッサのニュアンスもあります。

CETICA

チェティカはアレッツォ県にある小さな村の名前であり、またその地域のみで生産されている赤い皮のジャガイモの名前でもあります。大麦と共に生のこのジャガイモを加え醸造したのがこのビール。

他の二つに比べてスパイス感があり苦味もしっかりあり男性的。

アントニオさんが造っているビールは全部で7種類で、これ以外にラベンダーを加えたビールなどもあります。

私たちが興味津々だったのはなんとワインの木樽(バリック)で12ヶ月寝かせるビール。

このチェティカをベースにして、知り合いのワイン生産者の人から譲ってもらう一年使用した後のバリックに入れて寝かせます。

メルローを育てているこのワイン生産者さんのバリックに、中の澱が残っている状態でビールを入れて、澱に残っている酵母の助けで再発酵させます。

ビールは通常ワインのように何年も寝かせる飲み方はしないのだそうですが、このビールだけは垂直試飲ができるそうです。

ここまで聞くと飲んでみたくなりますよね。

ということで、生産者さんから直接買える特権でこの木樽熟成ビール二つの年代をお土産に購入させていただきました。(もちろん他にも!)

醸造所のすぐ入り口に蔓を伸ばしたホップが生えていました。

3月には地中に隠れているこの子達、8月には8mの高さにも及ぶのだとか。

毎日毎日、伸びていくのが目に見えてわかるそうです。

またこんな風に出会い、体験し、感動できる日が戻ってきてくれて嬉しいです。

6件のコメント 追加

  1. まるで、所ジョージの番組「笑ってこらえて」のダーツの旅のような旅先の決め方ですね(^_-)-☆
    そして今回も素敵な場所!!
    私もオタマジャクシって最近見てないな…。

    フィレンツェにもクラフトビールがあるんですね~。(と書いてて、そりゃそうだろって思ってしまった…(^-^;)
    とはいえ、そこはやはりイタリア。ワインの樽で寝かせるとは!!
    機会があれば飲んでみたいです(*^^)v

    いいね: 1人

    1. あはは笑
      まさに指ダーツですね笑
      近場でまさかこんな場所があるとは思わなかったので今回は大成功でした( ̄∀ ̄)
      クラフトビールの知識がほとんどないのでビールってワインより自由が多いんだなぁとビックリしました。
      ラベンダーやたジャガイモやら加わるんですもの。
      前に日本のクラウドファンディングのサイトでコオロギビールなるものが載っていてびっくりしましたが、こういうことかと思いました😅
      コオロギは遠慮しますが( ̄▽ ̄)

      いいね: 1人

      1. 白ワインだったら、ラベンダーいけそうな感じもしますが、やっぱりビールとは違うんでしょうね~。
        私もコオロギは…無理ですね…(-_-;)

        いいね

  2. 秋月 耕 より:

    ロゼの泡を持ってピクニック、いいですね^^

    いいね: 1人

    1. 長い寒い冬の後、緑色の春の景色の中のピクニックが毎年楽しみで、今年は特に家ごもり後なだけに笑顔が止まりませんでした☺️

      いいね: 1人

      1. 秋月 耕 より:

        たしかに、長い冬の後のピクニックは格別ですね。特に今年は^^
        私も家族を連れてピクニックに行きたくなりました😊

        いいね: 1人

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