ピエモンテ州ワイン生産者巡り③バローロ地区!夢にまで見たG.D.Vajra ステンドグラスのある醸造所

ヴァイラ!

ヴァイラについに行ける!

信頼しているイギリス人ワイン・ジャーナリストがよくソーシャルに載せていて、いつか飲みたいと思ってから数年。とある試飲会場でヴァイラが来ているのを発見し黄色い叫び声をあげて会いに行ったのが最初のきっかけです。

その時、大きなワイナリーにも関わらず、ヴァイラ家の息子くんイジドーロがサーブしていました。(普通なら従業員かソムリエが立ちます)。

開口一番におじいちゃんがスパイだった時の話からお父さんとお母さんを結んだヴァイラのバルベーラの話など家族伝説とワインへの大きな愛情、そしてピカイチの美味しさにもう惚れ込んでしまいました。(その時の記事はこちら

お誕生日は毎年ここのワインを開けるぐらい大好きなのです。

その大好きなヴァイラのワインが生まれる場所に行けるなんてワクワクが止まりません!

ヴァイラは昔0,3haだったブドウを売るのみだった畑から、今では84haも畑を持つ大きな生産者へと成長しています。その立役者はアルドお父さんと隣で支えたミレニアお母さん。

そして長男ジョヴァンニ、長女フランチェスカ、次男イジドーロがファミリーチームを固めます。

フランチェスカさんとは何度も試飲会で会っていて、今回も訪問したい旨を伝えると

「もちろんよ!早く会いたいわ!」と快く承諾してくれました。

正直、こんなに大きなワイナリーで家族の人が直接案内してくれるなんて忙しいだろうし難しいのではと思っていたのですが、到着すると緑の素敵なドレスを着たフランチェスカさんが

「レモンの木の隣に車を止めてね」と出てきてくれました。

レモンの木の隣に車を止める!その一言ですら素敵に聞こえる(笑)

実は、ここの醸造所には…

ステンドグラスがあります。

良いワインを作るためにみんなが働く場所は美しく心地よいスペースであるべきだという想いからつくられています。

青い淡い光に包まれる空間。

なんて素敵!

こちらはボトリングの部屋

お母さんのミレニアさんはシャガールが亡くなっていなければ彼に頼みたかったそう。

ある芸術家を探している時、やっと辿り着いたと思い叩いたドアの向こうから出てきたのが芸術家でもあり神父でもあるコスタンティーノ氏。その姿はフランチェスコ修道士そのまま。一瞬戸惑いますが、母は「私が探していた芸術家ではないけれど、でも彼が私たちが探していた人よ」と彼にお願いすることにしました。

1986年。

バローロで壊滅的な雹が畑を襲い、ほとんど収穫できないのが明らかになった時。

雹が降ったのは醸造所を作るための契約書にサインをする30分前だったそうです。

そんな中、ステンドグラスをお願いした神父さんは最初は渋ったものの、必要な窓のサイズの情報だけでこの美しい青いステンドグラスたちを完成させアルドさんへ連絡。

アルドお父さんが引き取りに行くと、ステンドグラスは箱に詰まっていて、彼は値段もステンドグラスの完成した姿も見ないままチェックを切ったそう。

すぐにその後ミレニアさんに電話し「今、チェックを切ったから、銀行がちゃんと支払いをできるように連絡してくれるか」と伝えたのだとか。

どん底の時に、それでも未来を信じて作った醸造所なんだなと感じました。

それが彼らの強さなんですね。

アルドさんが最初にワインを造った年、1972年もほとんどのバローロの生産者が諦めてつくらなかった年でした。

そんなアルドお父さんが…階段を降りようとしている時に登場!!

ご本人にお会いできるとは光栄でした。

その気持ちを伝えると「光栄なのは僕の方だよ」と暖かく話してくれました。

10分そこそこの間に彼はこんなことを話してくれました。

「長男がね、14歳のとき急に僕に聞いてきたんだ。

お父さんの仕事は社会に対してどんな意味を持つの?

あまりにびっくりして、しばらく考えて僕はこう答えたよ。

ジュゼッペよ、人はね、美しい絵画や音楽などなくても生きていけるのだよ。でもそこに絵があることで何かが変わるだろう。私はそんなものを社会に提供していきたいのだよ。とね

息子に聞かれるまでがむしゃらに造り続け考えもしなかったけれど、あの時、彼がそれを聞いてくれて気付かされたよ。」

人が人である理由はきっとそういうところにあるんだなと同じような想いを聞いて感動しました。

そんなヴァイラのファンは世界中にいます。

今回のコロナで国がロックダウンする直前、ピエモンテでは事態が既に悪化していたため、いち早く州が閉まり、マスクの配給も間に合わない状態に。その時に台湾のクライエントから沢山のマスクが寄付されたそうです。

「あなたたちのために何かしたい」と。

またアメリカの友達はソーシャルを使い「フランチェスカ、あなたたちのために何かしたいの」と寄付金を募ってくれたそう。

集まったお金はロックダウン時期、学校にも行けずただ大人が決めていく状況に対応するしかなかった子供たちへ夏の間、様々なアクティビティを提供するために慈善事業に寄付したそうです。(病院や食べ物を寄付する団体など他にも候補があったのですがその中からアメリカの友達に選んでもらったそう)。

地域のボランティアにも参加している話も聞かせてくれました。

木樽熟成庫。

バローロであるためにはDOCGの厳しい規定があります。

例えば木樽熟成は最低18ヶ月行われなければなりません。

木樽から少しづつ気化したり、途中の試飲チェックなどで減ってしまった場合は酸化防止のために小さめの木樽に同じ年、同じ畑からの予備を準備していてそれを加えます。

この作業は毎日全てどの樽からどれだけ足されたかなど記録され提示されます。

最終的にボトルに入るバローロワインが正真正銘のバローロDOCGワインであるためにそんなことが行われているんですね。

また、ヴァイラでは160種類に分けた発酵が行われています。

ブラインドテイスティングでこの160種類を朝からアルドさんやフランチェスカさんも含め5人のチームで点数やコメントをつけていき、それぞれどうアッサンブラージュ(ブレンド)するか、など会議が行われその年のヴァイラのワインがつくられていきます。

「自然は偉大なのよ、その自然から生まれたものをどうやって一緒にしてあげるかとても大変な、大切な工程」そう語るフランチェスカさん。

家族の話だと、彼女は家族の中で一番の嗅覚味覚、そして記憶の持ち主。

ブラインドで90%は当てられ、ピエモンテのワインならば畑や生産者まで当てにくるほど。

そんな彼女たちが畑から、醸造から全ての工程を「愛情を持って」造り上げたワインをテイスティングします。

正直、涙が何回か出そうでした(笑)

Barbera d’Alba 2018

Baroloの地域はこんな風に畑のCruが分かれています。

真ん中に走る川を境に大まかにいうと男性的な左側、女性的な右側があります。

このバルベーラには(奥のボトル)ラベルの鳥が2羽いることから象徴されるているのですが、男性的な畑と女性的な畑、両方のブドウからつくられています。

ふわっとしていてとてもエレガント。野の花や、山の中で見つけるプチプチしたベリーを感じます。

Barbera d’Alba Superiore 2017

比べると口に少し甘みのある濃い果実味があり、これはしっかり一本食事に合わせて飲みたくなります。

ところで…あれ?

このグラス…やばい…昨晩のアレッサンドロさんのところで出てきたセンソリーグラスだっ!

(ワングラス一万円ぐらいでしょうか…これを試飲に使わせてもらえるなんて😭)

最高のワインを造って、それを提供する時、彼らはここまで徹底して気を使っています。

それは後で出すバローロを先に抜栓し、空気に触れさせスタンバイさせながら、試飲に出したボトルは見せボトルと交換しワインクーラーにすぐに戻す作業まで気づかせないように行なっているところまで徹底していました。

ということで。

はい。

来ました!

Barolo Albe 2016

香りがグラスの中で爆発してます。

このバローロは彼らの造るバローロの中で一番「気軽に飲んで欲しい」というバローロを造りたくてできたラインアップで、三つの畑からのブレンドでできています。

私が出会った初めてのバローロでもあります。

複雑なワインほど香りの仕分けが難しく、ただただ香りの記憶の引き出しを開け閉めして楽しんでしまいます。

この複雑味は古いブドウ樹でなければ生まれないとフランチェスカさんは言います。

Bricco delle Rose 2016

昨年初めてリリースされたばかりの新しいバローロですが、樹はすでに30歳のものです。

(去年、初リリースでスローワインの賞を獲っているお化けワインです)

砂質な土地。だからか女性らしい華やかさ、そしてイチジクやチェリーの完熟した香り。

ため息が出っぱなしです。

Bricco delle Viole 2016

ヴァイラのフラグシップのワインはと聞かれれば間違いなくこれだとフランチェスカさんは言います。

こちらはBricco delle Roseに比べて粘土質な土地。だけど、繊細さも持ち合わせ、良い酸味そして複雑味が広がっています。

土のサンプルからも二つのバローロの違いが伝わります。

フランチェスカさんが「年に一回はちゃんと飲みたいワインね」というので

恐れ多い!「一生に一度飲めるかの大切なワインだよ!」と返してしまいました。

Barolo Chinato

バローロを造った後にバローロとして売らず、様々なスパイスを配合し漬け込んで造るのがバローロキナートです。

勿体無い!!!

と思うじゃないですか?

フランチェスカさんが「でもバローロキナートは食後に暖炉がついて、みんながまったりと団欒している時にお供してくれる大切なワインなのよ」と。

その時間を提供するワインなんですね。

試飲終盤にお母さんのミレニアさんが来てくださり、白髪のマダムでとっても上品なのに日本のお辞儀をしながら素敵な笑顔で挨拶してくれました。

最後に悩みながらボトルを購入。

喉から手が出るほどBricco delle Violeが欲しかったのですが、今回は生産者ごとにボトルを買う予定もあり、あまり散財できません。

帰り際にフランチェスカさんがコソッと

「一生に一度ではダメよ」とウィンクしてそっとそのボトルを入れてくれました。

うわぁんん😭カッコいいで

ありがとうフランチェスカさん。ありがとうヴァイラ家の皆さん。

ヴァイラのボトルを開けるとき、どれだけの愛情と苦労と細心の注意を払いその一本がつくられているかを知ることができました。

4件のコメント 追加

  1. nikonikomaison より:

    こんにちは!ピシッとキレイで超モダンでおしゃれな醸造所、グリーンのドレスの背景の壁も同じイタリアのグリーン。まさにイタリア。このあたりフランス人とは全然違う。ため息が出るほどステキ。そして家族のおはなしも感動的でした。

    いいね: 1人

    1. こんにちは!フランチェスカさんのドレスが同じグリーンで素敵ですよね!私も思いました〜☺️普段は小さな生産者しか回らないのですが、ヴァイラだけは別格でこんなに大きなワイナリーなのにちゃんと生産者と繋がれる素敵なところです。ウェブサイトを見ると家族のインタビュービデオが一人一人あり「家族の物語」が語られています。みんな自分の家族が大好き笑
      日本人は恥ずかしすぎてできない芸当です😆

      いいね: 1人

      1. nikonikomaison より:

        そうそう、フランチェスカさん、ドレスだけでなくキレイな人ですね。
        ラテン系の人々は、家族愛がすごいですよね。確かに日本人はそういうこと照れくさくてなかなか出来ません。でも、そのいっぱいの愛が別方向に向かった場合には、家族だけに、これまたとんでもないことになったりしますよね。

        いいね: 1人

      2. 確かにイタリアはマザコンとかもハイレベルですね😅
        何事もバランスとエネルギーはポジティブな方向に持っていかないとですね。

        いいね: 1人

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