最後に会ったのは3月のロックダウン直前の試飲会。
ヴィンイタリ前(2020年4月コロナで中止になった)には一緒にご飯しようよ!と約束していたのに、コロナでこの1年半は時間が凍結したようでした。
3年前訪れた彼のカンティーナには変化がたくさんありました。

「ここに新しい試飲をできるスペースを作る予定なんだ。」と言っていたところに木目の美しい建物ができかけています。
半分は丘の下に隠れていて、マテリアルは出来るだけ自然に戻る素材にしたいからと木とガラスを使い、柵の代わりに生垣を植える予定。
自然と一体化するような建物を目指してる。

池を作る計画もあり建物から出る汚染を循環させ再利用できるようにしたいのだとか。
暑さがおさまってきた夕方、白いキアニーナ牛が小屋から出てきました。

「オフグリッド」
植物、動物、畑、光や水。
いろいろなエレメントが揃いそれらが相互に繋がり、循環する環境。
ステファノ・アメリーギが目指すものは美味しいワイン造りだけではないのです。
大きい、そして、深い人。
話をしながら畑を見に行く間もずっとついて回るコイツ↓も新登場。

マトリョーシカのように親猫に雄猫に子猫に計5匹の皆同じ茶トラが人懐っこくお出迎えしてくれました。このピッポは特に「さぁ僕を撮って!」と言わんばかりにずっとポーズしてました。
激写(笑)

どうやらいつの間にかやってきて、増えて、アメリーギファミリーの一員になったようです。
ここなら君たちも幸せだね、と声をかけます。
そんな場所に元気にシラーが今年も育っています。

ステファノが自らフランスの北ローヌ地方を渡り歩き、ブドウを見て選んだマッサル選択の古いシラー品種。普通シラーは実が丸いのですが、一目見て気づくこの先っちょがとんがったような卵型の実が特徴。とても珍しいシラーです。

カンティーナで少し試飲させてもらいました。

醸造の発展段階のワインを直接試飲させてもらえるこの至福!
前回の訪問で、畑-地質違い、醸造の段階でのコンクリート、セラミック製の入れ物違いを試飲させてもらい同じシラーでありながらこんなにも違うのかと驚かされましたが、今回も分かっていながら驚きの声を隠せませんでした。
2020年収穫したブドウの4種類を試飲したのですが、個性と完成度がすごい!
垂直に真っ直ぐ上へ登るように香るスパイシーなもの。
横に広がる重みを足したもの。
噛み締めたくなる旨みのあるもの。
ステファノは茎を最低20%は入れるのだとか。
うまく造ると茎は緑の若い臭さではなく、ワインに一本通った背骨ができるのだそう。
私もこの背骨が通ったしゃんとしたワイン が好きなのですごくわかる!と試飲しながら思いました。
この日はステファノの奥さん、娘ちゃん、一緒に働いているフランチェスコとこの後一緒にご飯。
持参した日本食とステファノが用意してくれたブッラータとキアニーナ牛のタルタル❤︎
お供は…ステファノがマルケ州で造っている白ブドウのペコリーノ種のノエ、2013年(限定300本)と2015年!

マルケ州は2016年に大きな地震に見舞われそのとき大切なパートナーをなくしてしまいました。
地元品種で原種に近いペコリーヌは今では失われかけています。それを「再生」する意味を込めて、旧約聖書のノエから名前をとっています。
2013年は初ヴィンテージ。バターやアーモンドのような熟成した味、干し草がふわっと香ります。
2015年は白い花にオレンジ。年代ごとの味わいを堪能します。貴重なワイン。
私達は大好きなフランスはニースの丘でワインを造っているジョーさんのワインを持参。
フランスとゆかりのあるステファノにぜひ飲んでみて欲しかったのです。

そしてまだまだ続く試飲。
友達が始めたばかりのワイナリーだったり(左)シラー品種をイタリアへ連れてくるのにお世話になった生産者(中)や知り合いのパンテレリーア島の小さな生産者のものだったり(右)。
そしてそして、限定のステファノのワイン。茎いり100%で造ったイル・マイアリーノ。
ラベルは娘ちゃんが描いたのだそうです。
茎が100%も入っているのに青臭さはなく、骨格があるエレガントな仕上がり。さすがステファノ・アメリーギ!

最後の締めに…なんとステファノが造っているというビール❗️

基本ビールは好きではないのですが、これがいい意味で全然ビールっぽくなく、まるでワインのよう!すごく美味しいのです。
モルトと自家栽培の穀物を温めたものを祖父の使っていた醸造所へ運び、もともと醸造所内に住んでいる酵母の助けを借りて発酵。これをまた祖父が使っていたバリック(木樽)へ入れて3年間寝かせます。
ある意味ビールらしさを担っているとも言えるホップは主役にならないようにあえて寝かせたホップを使用。
ビール嫌い撤回!「ステファノのビールだけは好き」と改めます!
新しい試飲用の建物が造られ、猫一家が現れ、ビールまで造っているステファノの「進化」、ここで終わりではなくて、なんと!標高750mと850mの場所にアルベレッロ仕立てでシラーを植え、新たなワインをつくり始めているそうです。
標高700m以上の場所でアルベレッロ仕立てで畑を造りたいと思ってる彼氏くんにとっては、尊敬する大大大大先輩が同じように造っていると聞いてなんとも嬉しいニュース!
ワインを飲むときに大好きなのは、それを共有できる人の温もりがあって、テーブルの上に笑い声や思想が行き交うような、そんなときです。
コロナで遠ざかっていた大切な時間がやっと戻ってきたと思える、そんな素敵な夜でした。
これからのステファノの進化がまた楽しみです。
今回も色々素敵な記事でした(^-^)
茶トラのしっかりカメラ目線、頂きました(笑)
うちにも以前茶トラがいたので、特に茶トラには思い入れがあるのですが、のびのび暮らしている感じが伝わって来ますね。
どのワインも美味しそうですし形容が絶妙(特に縦横芯の話!)で飲んでみたくて仕方がないのは当然として、自家製のタルタルとブッラータ!思わず涎が。。。
ビールもかなり気になりました。実は私もビールが好きではないので、一体どんな感じなのか、すっごく飲んでみたくなりました。
いま近所で Cantina Orsogna がPatch Wineを販売していて、日本語の上手い伊人美女さんから色々お話を聞き、シャルドネを買いました。夏のうちに飲む予定です(^-^)
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KYOさん、コメント嬉しいです〜😊
茶トラ、笑えるぐらい可愛くて個性の強い子でした。そして人を信頼してるから本当に人懐っこい。実は私も猫を飼ってたので猫には弱いんですよね。
ワインの話をいろいろしている中でステファノが最近「立体感のあるワインを追求したいんだ。立体感を出すにはタンニンにどう働きかけるかが大切だと思ってる」なんてことも言っていました。
でも実際彼のワインは本当に立体感があると思えるものなんですよね。
そんな話をしつつワインを試飲しながら、しっかりブッラータの前の席を陣取りました(大っっ好き笑)
ご近所にイタリア人でワインを売って人がいるんですね!Cantina Orsognaは飲んだことないです。KYOさんの感想が気になります!記事楽しみにしてます😊
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こんばんは。イタリアは猛暑ですよね、大丈夫ですかー?コメントを、と思ってそのままになっておりました。いつものごとくラベルがかわいいなぁーと見入り、でも、フランスものはやっぱりなんだかなーと思ってしまう。あくまでラベルのはなしですよ。それにしても、トスカーナの景色のすばらしいこと。木の建物もねこちゃんも。そんなところで美味しいワインをいただきながらの食事。もう言うことないですね😊
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こんにちは!本当に、暑すぎて外では息ができないかと思うほどでした!やっと山は超えたようですが…フランスは大丈夫でしたか?
フランスのラベルもナチュラルワイン生産者のものは可愛いのを見たことがありますよ。個性を主張しているというか笑
ところでコロナの状況が急に心配な状態になってきましたね。実は状況悪化の前に3日間ですがニースの生産者に会いにいく計画を立てていて、今のところは行こうと思っています。これ以上悪くならないといいのですが…会いたい人がいる、懐かしい景色がある、これこれ!と思う食に出会う…ステファノのところもニースもそんな場所です。
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ですよねー信じられないような気温が出てましたもんね。こちら北フランスは逆に寒くて寒くて、このまま秋になったら嫌だなーと思っています。
今現在のフランスの人の流れに沿ってか、バカンス客の多いところ(南の海辺)ばかりで状況が悪化してます。ニースへはくれぐれもお気をつけて!また楽しい報告を楽しみにしています。
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北フランスとそんなに差があるんですね!😵
南フランス、どうやら暑さ?のためか自然火災が発生して大変みたいですね…
ワクチンも完了したので、マスク、ソーシャルディスタンス、マナーを守りつつ少しだけフランスにお邪魔しに行きます!(クロワッサン食べれるだけでも幸せ笑)
ゆっくりですが記事アップしていきますね。😊
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