レ・モーレ・ビアンケ 大きな木の下での夕べ

ピエモンテ州・ロエーロ地区でワインを造っているアレッサンドロ・ボーヴィオのお家の横には大きなクワの木があります。

そして、そのクワの木に見守られるように彼のぶどう畑が広がっています。

2020年、ピエモンテ州バルバレスコの生産者オレック・ボンドーニオの元へ訪れたとき紹介してもらい、突然のしかも電話して2時間後の訪問にも関わらず、快く訪問を受け入れてくれただけでなくそのまま「ご飯一緒に食べるでしょ?」とお宅のお庭、このクワの木の下で夕食をご馳走になりました。

たくさん話して、笑って、いつの間にか友達になってました。

その時のワイナリー訪問記事はこちら↓

「新しいワインができたよ!味見しにおいで!」

そんなメッセージが来たのは今年2021年の6月下旬、そのメッセージを本気にして、8月に会いに行ったのです。

この時期のワイン生産者たちは忙しく、アレッサンドロは友達のワイン生産者の手伝いにボトル詰作業に出ていて、ちょうど帰って来たところでした。

全然変わらない自然な笑顔のアレッサンドロ。

まずはちょっと味見するかい?と彼の新しいラインアップであるアルネイス(白ぶどう)をシンボルの木の下で試飲。

彼の畑と、向こう側に見える山が描かれているラベルがとっても可愛い。

娘さんが自由に色をつけたそう。

箱買いすると6本違うカラーのラベルが入るようになっています(笑) 恐竜の卵のような夕日が可愛い。

この時はまだ夕日はなかったけど、見えてる景色とそっくり。

お供には地元のチーズ(これが美味しい!)

Roero Arneis 2020

2020年、三度もの雹に見舞われ、同じ時期に1週間に二度も100mmを超える雨。畑には使えるブドウは30%ほどしか残っていませんでした。

そのたった30%生き残ったブドウから素敵なワインが生まれたのです。

名前はIRONIA直訳すると「皮肉」でも日本語のニュアンスよりもポジティブで明るい響きがあります。

陶器のターヴァ(アンフォラに似ていますが、気泡がさらに小さく酸素透過率が低いそうです)で発酵、マロラクティック発酵。その後、セメントタンクへ。皮には二日間浸かっていますがオレンジワインのような酸化した感じはありません。

繊細なのに深い。鉛筆の芯のような硬質感、トゲのあるハーブの香り。口の中で横に広がります。

アレッサンドロが嬉しそうに、「今年はね、面白い試みをしてみたんだ。」

「バルベーラ種の畑の一部に古代種の麦を数種類混ぜて植えたんだ。」

麦科の植物は根を広く張り土を耕すのと似た仕事をしてくれ、土壌にとって好ましい菌も増やしてくれます。

そして、発育が良い畑では、土壌からの栄養を吸い取る競争相手を植えるのもその一つの方法。

アレッサンドロのように古代種の麦を植えた人は初めて聞きました。

しかも私たちが訪れる1ヶ月前に刈るまでなんと人の背丈まで伸びていたそう。

(古代種は背高く成長する特徴があります。つまり風で倒れやすい。育てやすい改良種は低く育つ特徴があります)

ブドウの木とその間にはほぼ同じ背丈に成長したボーボーの麦の写真を見せてくれましたがかなり圧巻でした。

麦は小麦粉にしてパンにできるように提供するそうです。

刈ったあとの麦がこちら。

種類が違うので見た目も違います。

照れてるアレッサンドロをすかさず「写真撮らせて!」とパシャリ。ワインを作っている生産者産の人柄とその土地の背景をお伝えできるのは私にとって一番大切なことなんです。
届いたばかりの新しい木樽。これを使いアルネイスの醸造を試すそう。

醸造所でタンクから2019年と2020年のバルベーラを試飲。

生産者の元へ訪れるとわかるのは年によって気候が違い、それによって生産者がどういう判断を行いその年のワインの味や香りにつながるか。だから面白い。

2019年は8月に雨が多く、実が水分を含み膨らみ始めたので早めの収穫を行った年。

とってもフレッシュでパキッとした印象。

2020年は対照的。40日間しっかり発酵とマロラティック発酵を行い、12月にアンフォラ・大樽・セメントに移し、またその後に混ぜ合わせる。

鰹節のような旨味、縦に上る香り。いい年です。

アレッサンドロの名物お母さんや小さな娘ちゃん、先ほどアレッサンドロが手伝いに行ってた友達のワイン生産者が集まってきて、みんなで木の下でワインを試飲しながらいつの間にかご飯タイムへ。

ブレててごめんなさい。ファッソーナ牛のカルパッチョ。

アレッサンドロもコロナにかかって、会わなかった間いろんな変化があったんだ、と話してくれました。

気づけば日が沈み、イロニアのボトルのラベルと同じ景色が。

そして、見ると頭にライトをつけてデッカいピエモンテ牛を炭で焼いてくれているアレッサンドロ。

「アレ!すごいねその頭に電球つけるやつ!」というと、

「これはね、4月ごろに畑で小さな芽が出始めるころ、それを食べに来るNottua(イタリア語で夜を意味するNotteからきてると思われる虫の名前、蛾の幼虫のようです)を一個一個排除するときに使うんだ。大体10日間〜12日間はせっかく出た芽が食べられないように夜中に畑で作業するんだよ」

すごい。

私たちが、美味しい!と簡単に言っているアレッサンドロのワインの裏にはこんな風にきっとたくさんの大変で小さな作業が隠れてるんです。

書くのが遅くなってしまいましたが、今思い出しても、あの木の下でわいわいとワインと話を交わした時間は楽しくて、大切な時間だなと思える夜でした。

7件のコメント 追加

  1. nikonikomaison より:

    ステキな場所で、ステキな人たちとの出会い、ワインを介してのステキな時間。ほんわかしながら、あ、またラベルが超かわいい、やっぱりイタリアとか思いながら読ませてもらいました。

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    1. うふふ。ありがとうございます😊
      こういう出会いや時間が、毎日が忙しかったり落ち込んだりする時の元気の素になりますよね。
      ラベル…IRONIAの他のラベルも記事の中に写真👆追加してみました♪

      いいね: 1人

      1. nikonikomaison より:

        どこかに元気の素がなくちゃね。
        それにしてもどのラベルもやっぱりかわいい。娘ちゃんラベルの色合い、自由さが出てますよね。並べて見ると、夕日が朝日に見えて来て、なんだか日本っぽく、それで日本酒のラベルなんじゃないかという錯覚に陥ります。おもしろい😊

        いいね: 1人

  2. saganhama より:

    こんにちは(^^)
    大きな樹の下でのひと時はリラックスできる時間が持てたようですね。オーナーの娘さんが色付けしたラベル何だかホッコリ出来ますよ。
    でっかいステーキを見て、アメリカの牧場を訪ねた時にBBQで出された物を思い出しました。

    いいね: 1人

    1. こんにちは!
      本当に、豊かさってこういうのなんだなって思います(^^)
      アメリカの牧場でそんな経験をされたことがあるんですね!実はアメリカには行ったことがないので景色が壮大で食べ物は豪快というイメージです笑

      いいね: 1人

  3. KYO より:

    素敵な生産者さんとの素敵な出会い、素晴らしいですね。日本にいてはなかなか見られない貴重な情報をありがとうございます(^-^)
    明るくて元気そうなワインラベルを見ていると、描いた人の幸せそうな生活が浮かんで来るようですね。
    いま住んでいる所も地産地消が盛んな土地ですが、食べるものを作る土地はなるべく安全安心な環境でいて欲しいなぁと、今更ながら思いました。

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    1. 本当にその通りですね。イタリアはオラが村精神が強いので地産地消がなかなか根付いているんだなーと住んでいて感じます。娘の小学校の給食が一時期有機栽培ではない(認定されてないというだけかもですが)食材になった時、親がみんなで署名し、食材を安全だとわかるものに!と一致団結し、すぐに変更になったことがありました。みんなの意識がうかがえて感心した覚えがあります。

      いいね: 1人

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