昼過ぎ、ピエモンテ州を出発して同日中に苗木屋さんに持っていくため急いでトスカーナ州の海側の町リード・ディ・カマイオーレまで移動。
カルラ・ビアンキというブドウ苗木を専門としている苗木屋さんのもとへ午前中に切ったばかりの新鮮ほやほやの枝を持っていきます。
この日を想定して前年の秋に枝たちの「保育園」とも言える苗を栽培している様子を見学させてもらい、実際の枝の大きさや長さ、運び方なんかを聞きに行きました。
その時の写真がこちら。


ここでちょっとだけブドウの木に寄生するフィロキセラ(Phylloxera)について説明を入れさせていただきます。
1863年に初めてヨーロッパに蔓延したフィロキセラ、アブラムシの1種なのですがブドウの木の根に寄生してしまうと数年で木全体が枯れてしまうのです。
ブドウの木にはヨーロッパ系のヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis vinifera)やアメリカ系のヴィティス・ラブルスカ(Vitis Labrusca)などの品種がありますが、ヨーロッパ系のヴィティス・ヴィニフェラはフィロキセラに耐性がなく、ヨーロッパにやってきた時にはほとんどのブドウ畑がやられてしまったそう。
そこで、現在はほとんどのブドウ樹は耐性のあるアメリカ系のブドウ樹を根っこに使い、接木して上はヨーロッパ系のヴィティス・ヴィニフェラにして育てているのです。


この時、枝を持っていくときは約1mの長さであること、芽の方向が揃うように枝の向きを気をつけること、持っていくのが同日ならそのままでもいいけど数日開く場合は黒い袋なんかで包むなどいろいろ教えてもらいました。
リード・ディ・カマイオーレについた頃にはすっかり外は暗くなってました。

去年見にいった畑とは違うところにある、接木をするためのカルラ・ビアンキの工房へ。
なんとどうやって使うのか見せてくれました。
まず最初のカッシャンで芽のある生やしたい枝を切って、それが機械にカポッとはまったまんまです。2回目のカッシャンで台木を切って同時に最初の芽のついてる枝がパズルのようにはまっています。

一瞬で接木されることにびっくりでした。
私達のピノ・ネーロの枝もこんなふうに台木に接木され、その後保育園に植えられ根が生えて、畑に植えられる状態になるまで育ててもらうのです。

次の冬には苗が出来上がり、植えることができます。
オーダーするにしても(つまりカタログのように種類があってそこから何がいいか注文する)、枝を持っていって接木してもらい、苗にしてもらうにしても毎年1〜2月ごろには苗業者に伝えないとその次の冬に植える苗は間に合いません。
ちなみに彼氏くんは台木の勉強を夜な夜なしていたようで、枝を持っていってお願いした台木はRitcher110と420Aです。
石灰性土壌に耐性があり、樹勢があまり強くなく(一本の木になる枝ぶりとブドウが限られ、一つ一つしっかり濃いブドウができる)根が下方向に育つ(無理な施肥をせず、雨が少ないなど乾燥した年にも灌漑せずに地下にある水分を自分で取り入れてくれる)ようなタイプ。
理想のワインに合わせて理想のブドウの木にしなければいけないのでこの選択はとっても重要です。
ついでに畑の端っこになら植えてもいいよと(私のっ!)ズラリーナも5〜6本置いてきて接木してもらうことにしました。
半分は持って帰ってきて働き先のオフィスの庭師に手伝ってもらい台木なしで直植えしてみることに。

土の上から出ている芽が一つ、土の下の芽が(少なくとも)二つになるように枝を切ってぶっ刺し水をたっぷりあげる。

庭師たちは水分が大切だから透明な袋で包んだほうがいいよというので半分はその方法で半分は包むものの閉め切らないで様子を見ることに。
実験的に育つ様子が見たいだけなので台木なしでどのくらい大丈夫なのか観察しようと思います。
ちなみに、切ったばかりの新鮮な枝の切り口って黄緑でとっても綺麗。数時間ほどで消えていきます。

植物の成長ってワクワクしますね。
来年苗を植えれるのが楽しみです!
接木の成長が楽しみですね(^-^)
あんなに若い木でも葡萄がなるのですね。あの葡萄がどうなるのかちょっと気になりました。
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私もびっくりしました!葡萄はきっとそのまま畑に…置いてかれちゃう気がします💦この苗木たちは植えられてからも樹勢が強い子たちなんだろうなと思います。葡萄の木も人間みたいに千差万別なんですね〜
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こんばんは(^^)
接木をする機械凄い!機械で接木が出来る事初めて知りました!!! 苗木になって立派に育ち良い実がなると良いですね。
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こんにちは!
私たちもそんな機械があるなんて知りませんでした!実はAmazonで剪定鋏に似た形状で手でパズルのピースみたいに切るのを売ってるんですよ。漠然とそういうのを使うのかと思っていたけど、量が半端ないのだからそんなわけないですよね😅
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こんにちは!ぶどうの苗木のことなんてなにも知らなくて、へぇ〜の連続でした。保育園があったとは!でも、苗を植える前にこれだけの繊細な仕事が必要となると、それのプロがいて、保育園があるのも当たり前なんでしょうね。卒園(?)する苗木の写真も興味深いです。植える前にすでにあの根の長さなんですね〜。そして、ワイン畑に植えられたあと、さらに根は深く深く伸びて行くんですね。ワイン講座なんかで何千年前の地質の変化のこととかが話にのぼるんですが、なんだかとてつもない昔の、目に見えないこと言われてもピンと来ずにいたんですが(それに地学は苦手)なんか、あの写真でなるほどと納得しました😉また次の記事楽しみにしています!
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こんにちは!私も今経験しながら学んで行っているところです。実際どうやってるかなんてなかなか見る機会ないですものね。
本当に卒園して(笑)早く私たちの元に戻ってきてほしいです。ちゃんと苗になる確率は6-7割ぐらいらしいです。
私も地学とか苦手です…からの次の記事もろに地質についてですが笑
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